secret days



そんなわたしの人生におけるターニングポイントはすぐに訪れた。



「ルウ、今日も図書室?」

「うん」

「そっか、じゃああとでね」



私立だけあって、この学園の敷地はとても広い。

入学した頃は毎日迷子になっていた。

さすがに、もう半年も経つし、だいたいの場所くらいは把握しているわけで。



ガラー…



「…ふぅ」



ドアを開けると、古いような、どこか懐かしい香りがわたしを包む。

お昼は決まってここ、図書室に来るのが日課になっている。


図書室と言っても、この学園にある図書室は2つ。

この古い図書室と、倍の広さで去年新しくできたっていう図書室。

新しい方は人がいっぱいいて落ち着かないし、教室ではアイドル科について女の子が盛り上がる中に入れない。


お昼は一人で静かに本を読むのが好き。



だから。



「…っ!」



先客には、とても驚いた。

思わず持っていた本を床に落としてしまい、その音にわたしは小さく飛び上がった。



普通科とは少し異なったデザインのブレザー。

蜂蜜みたいな髪色。

机に伏せていて、顔は分からない。


けど、この人見たことある気がする。



< 2 / 27 >

この作品をシェア

pagetop