secret days
そんなわたしの人生におけるターニングポイントはすぐに訪れた。
「ルウ、今日も図書室?」
「うん」
「そっか、じゃああとでね」
私立だけあって、この学園の敷地はとても広い。
入学した頃は毎日迷子になっていた。
さすがに、もう半年も経つし、だいたいの場所くらいは把握しているわけで。
ガラー…
「…ふぅ」
ドアを開けると、古いような、どこか懐かしい香りがわたしを包む。
お昼は決まってここ、図書室に来るのが日課になっている。
図書室と言っても、この学園にある図書室は2つ。
この古い図書室と、倍の広さで去年新しくできたっていう図書室。
新しい方は人がいっぱいいて落ち着かないし、教室ではアイドル科について女の子が盛り上がる中に入れない。
お昼は一人で静かに本を読むのが好き。
だから。
「…っ!」
先客には、とても驚いた。
思わず持っていた本を床に落としてしまい、その音にわたしは小さく飛び上がった。
普通科とは少し異なったデザインのブレザー。
蜂蜜みたいな髪色。
机に伏せていて、顔は分からない。
けど、この人見たことある気がする。