secret days
「ねぇねぇ、響なんてやめて俺にしちゃいなよ。
あ、何なら今からデート行く?」
「…遠慮します」
「もったいないなぁ。
俺とのデートなんてそうそう出来ないのに」
この人、ぐいぐい来るなぁ…
「あの、アイドル科の昇降口ってどこですか…?」
「え?昇降口?」
「はい」
もし響が気付いて折り返して来たら、きっと会うだろうし。
この人、アイドル科っぽいから知ってるよね。
「んー、特別に案内してあげる。
こっちだよ」
「あ、はいっ」
次は迷わないようにしないと。
「…あの、こんなに遠いんですか?」
「もう少しで着くよ」
「でも、なんか来た道を戻ってる気がして」
「気のせい、気のせいー…」
「おい、柚留!」
「響!…何で後ろから?」
後ろからわたしの名前が呼ばれたと思ったら、怒った顔をした響が近付いてきた。
「お前、真逆なんだけど」
「え?だって、この人が…」
「あれ?ばれた?」
そう言って、ふざけたようにペロッと舌を出す。
…全然かわいくないし。
むしろ、むかつくし。