secret days
「ほら、こっち」
「ま、待ってよ、ユキちゃん…」
さすが男の子って言ったら怒られるかもしれないけれど、ユキちゃんはわたしより重いはずの段ボールを軽々と持って歩いて行く。
周りにばれちゃいけないから、必要なものだけ自分で運んで、残りは業者にお願いすることになっている。
「柚留、遅すぎ!
早くしないと、普通科の授業終わって戻って来るわよ?」
「…こんなに遠いなんて思わなかったもん」
「屁理屈言わないの」
「うぅ…」
最低でも、もう1往復しなくちゃいけないかと思うと…
「柚留」
「柚留ちゃん、ユキ、お疲れ様」
「あ、響に一ノ瀬さん…」
学校の前で、二人に出会った。
「俺と響で寮まで運んでおくから、二人は残りの方持って来なよ」
「良いんですか?」
「ほら、貸せ」
「ありがとうございます」
響に持っていた段ボールを取られ、ユキちゃんの分は一ノ瀬さんが受け取っていた。
「柚留!早く戻るわよ」
「あ、うん!」
ユキちゃんに促され、来た道を戻った。
「学校から寮って遠いの?」
「すぐ近く、あそこから5分もしないはず」
「へぇ…」
普通科の寮は10分はかかるのに…
やっぱりこの学園はアイドル科が優遇されてるんだなぁ。