secret days
今まで一度も先客なんていなかったのに、何故。
絶対本に縁がなさそうなのに、何故ここに。
て言うか、寝てるの、この人?
わたしどうしたらいいの?
いったいどこから疑問を持てばいいのだろうか。
こうして、わたしの日課が1人の男によって容易く崩されてしまった。
昼寝するだけなら、保健室とかでいいじゃない。
これだからアイドル科は嫌ー…
「…遅かったじゃん」
「ひゃあっ?!」
い、いいい生きてる!
…じゃない、起きてた!
急に顔をあげたその人は、やっぱり想像通りの人物で。
「普通科、1年B組 橘 柚留」
「な、んで…わたしの名前」
「何でって、スカウトしに来たから?」
みんなが喜ぶニッコリ笑うその顔は、わたしの中では危険信号でしかなかった。
「アイドル科のあなたがわたしに用だなんて…
何かの間違いじゃないですか?」
「まぁまぁ、そう警戒しないでよ」
「無理です」
近づいて来るその人は、近くで見れば見るほど別次元の人みたいで。
女子の平均で少し高いくらいのわたしを、余裕で超えて行く長身。