愛されオーラに包まれて
そして夕方…

この会社の定時は17時30分。
チャイムが鳴ると同時に玲奈さんはパソコンを切って、脱いでいた上着を着ると、ショルダーバッグを持って

『ごめんね、遥香ちゃん。私、家の都合で長く会社に残れないの。また明日ね』

と、玲奈さんは言い残して、退社していった。

昼間の話は本当だったんだ。
残業できない分、就業時間内に効率よく仕事をするんだろうな。

今日1日だけで、玲奈さんの凄さをまざまざ見せ付けられた気がした。

局長席をふと見ると、局長は難しい顔をして書類を見ていた。

『ふぅん、歓迎会かぁ』

今、外出先から戻ってきた小津さんは、机の上にあった紙を見て、呟いた。

『高松さん、局長ファンクラブの活動のチャンスは1次会だけだよ』
「何でですか?」
『局長は2次会以降は出ない人なんだよ。特に社内の飲みはね。まぁ、2次会もお金は惜しみ無く出してくれるけど』
「そうなんですね」

すると、日下部長がパソコンを見ながら、

『そもそも局長クラスの人間は、無駄に部下の飲み会には行かないものでしょ。飲み自体が堅苦しくなってしまうからね。でも高松さん、まずは自分の仕事、頑張らないとね』
「はい」

部長はパソコンにあった目線を私に移した。
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