愛されオーラに包まれて
『越後もさ、好きな人の幸せを願える人間になれよ。ズルズル引きずらないようにな』
『大丈夫ですよ。まずは、人間を磨いて再びどこの部署に配属されても役に立てるレベルにならなくちゃ』
「そうだな。越後の口からそのセリフが聞ければ、俺も安心するよ」

俺は飲んでいた白ワインのグラスを置いた。

「越後、こんな席で申し訳ないけど、やっぱりお前を"未必の故意"に至らしめたのは、俺がはっきりしなかったせいなんだよな。本当に、申し訳なかった」

俺は頭を下げた。

「それでも、俺は高松…遥香が一番なんだ。遥香以外は、女性として見られない。こんな俺でも良ければ、これからもこういう飲み会に連れて行くからさ、よろしくな」
『ありがとうございます』

越後は涙ぐんだ。

それを見た花村。

『俺の胸で良ければ、泣けば?』
『花村さんの彼女の立場ならキレますよ。修羅場になりたくないので遠慮しまーす』

遥香も口を開く。

『あの時、朱里に私達の姿を"見られる"んじゃなくて、何にしても先に朱里に言うべきだったの。意図的に隠そうとしたのは事実。それによって朱里を傷つけたから、私からも、ごめんなさい』

遥香は頭を下げた。

『…もう、やめようよ』

越後は遥香の頭を自分の手で押し上げた。
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