愛されオーラに包まれて
『新入社員は今月いっぱいは残業禁止なんだ。高松さん、今日はお疲れ様。帰っていいよ』
「はい、お先に失礼します」

私はカバンを持って、出入口で社員証をかざして退社時間を記録する。

会社のエントランスを出たところで朱里に遭遇し、一緒にごはんを食べに行くことになった。

入ったのは、イタメシ屋。
やっぱり居酒屋だと飲み過ぎちゃうから、明日に響くもんね。

好みのパスタとピザを注文する。
飲むのはアップルジュース。

"かんぱーい"

『で、どうだった?アンタのとこの局長。』
「もちろん、目の保養になったけど、彼女いそうなんだよなぁ」
『どこ情報?』
「桐生さんの"勘"」
『何よそれ』

ふたりでサラダをつつきながら話す。

『それにしても、成瀬川局長って、ホントプライベートが謎らしいのよ』
「そうなんだ」
『彼女の有無どころか、独身かどうかも怪しいし、過去のプロフィールに至るまで、謎』
「東都大なんでしょ?」

私は今日得た一番の局長情報を自慢気に朱里に伝えた。

『そんなのは、みんな知ってるわよ』

朱里にバッサリ切られた。
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