愛されオーラに包まれて
『その時点で遥香が好きと自覚していたから、遥香の嫌がることは極力止めようと思ったら、自然とタバコは止められた』
「何か、嬉しいかも」

私はソファーに座る泰河の隣に座った。

『俺も、止められた自分にビックリ』

と、玄米茶をひと口飲む。

「ビックリと言えばさ、"白石うらら"ちゃん・・・みなみちゃん?がいたこと」
『アイツは小さい頃からアスにべったりだったよ』

"アス"って、さっきまで一緒だった上の妹の明日美さんのことね。

『お前と一緒で、父ひとり子ひとりでさ。しかも親父さんは警視庁の刑事でほとんど家にいないし、みなみ自身も人の好き嫌いが激しいから、友達もほとんどいない。それを心配したアスが、みなみの可愛さを生かすべく、本人に内緒で【Girl's Leaf】のオーディションに写真を送ったのが、モデルの世界に入ったきっかけ』
「だから、泰河も龍成社に入ったの?」
『全く関係ないよ。俺は元々出版社の営業部門志望だったし。3社受けて、受かったのが龍成社だけだったから入っただけ』

"温めで美味しいね"とお茶を褒めて、もうひと口飲む泰河。
< 150 / 345 >

この作品をシェア

pagetop