愛されオーラに包まれて
『お前は、そもそも編集志望じゃなかったっけ？』
「うん。雑誌や書籍から、流行を作り出せたらな、とか、漠然と思ってて。あとは売れる雑誌を作ってみたい、とかさ。でも今は遠い願望」

今は、営業部門で頑張ろうと思ってるし、与えられた仕事をめいいっぱいやらなくちゃ。

「まずは、営業局のエースに追いつかなきゃ」
『金澤？ムリムリ。お前とは質が違いすぎ』

泰河は手をヒラヒラ横に振った。

「ちょっと、言うだけならタダでしょ？」

私は口に空気を入れてほっぺを膨らました。
それを泰河は片手で私のほっぺに触れて萎ませ、その片手の位置をそのままで私にキスをした。

『お前は、お前のペースでお前らしく仕事をすればいい。日下部長だって、局長だって、お前に金澤のようになることを望んでないよ。人の真似した営業なんて、魅力がない』

泰河は私の両肩に自分の両手を置いた。

『それに、お前の本当の魅力は、俺だけが知っていればいいんだから』
「じゃぁ、私の魅力って、何？」
『猫顔と、薄い唇と、俺との身体の相性が抜群なこと』
「え～？バカぁ」

私は泰河の胸に軽くパンチした。

"アハハハ"と、泰河は笑った。
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