愛されオーラに包まれて
『仕事へのひたむきさと、相手への気遣う心、実直さ、そして、記憶力』
「記憶力?」
『お前は一度聞いた相手の言葉をよく覚えているよな。それって、大事』

そんなこと、初めて言われた。
泰河はちゃんと見ているんだね、私のこと。

『でも今は、仕事の話はあんまりしたくないな。お前の魅力のひとつである"身体の相性"を、確かめ合いたいんだけど。さっきキスしたら、その気になっちゃった』

泰河の熱がすっかり籠っている目に気付いた時には、ソファーにそのまま私の体は倒されていた。

うちの会社の仕事初めは5日。
あと2日、私の体、持つかな?

年が明けて、さらにその後の3連休明け。

思った通り、泰河は【B-Femme】の創刊でかなり忙しい様子。

既に年明け前から動いていて、販売会社との調整、編集部との打ち合わせ、ポスターなどの宣伝物の準備、書店営業を担う促進局への情報提供…

やるべき仕事を挙げたらキリがない。

"宣伝費用は億単位"って泰河は言ってたな。

泰河も相当なプレッシャーに違いない。
そんな忙しさを遠目で見つつ、週末は泰河の家でごはんを作ってあげて、彼を精一杯応援した。
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