愛されオーラに包まれて
コイツは、俺のために…

「でも家ではあんまり仕事の話はしたくないなぁ」
『会社でこんな話出来ないでしょ?私が泰河の仕事に首突っ込んだらそれこそ怪しまれるし、自分の仕事だってあるんだから。それに、私は黒子だから』

オレンジジュースをひと口飲んだ遥香は、さらに続ける。

『パーフェクトに仕事が出来る人はいない。でも、泰河にはそれに近い仕事をしてもらいたくて、私は影ながら応援するの。公私ともに』

と、遥香は首をかしげて微笑んだ。

遥香がうちに泊まった平日は、時差で出勤する。

本当は手を繋いで出掛けたいのに。
外へのデートも、躊躇している。

最初のデートだったアウトレットモールで越後に見られてからは、いつどんなところで会社の人と遭遇するか分からないと感じたから。

社内恋愛って、そんなに悪いのか?
テレビで、結婚相手との出会ったきっかけとして"職場"と答えた人が多いと言ってたの見たぞ。

俺たちのことを知るのは、営業局内では局長と金澤だけだ。
応援してくれる遥香のためにも、昨日の後片付けをした。

午前中に関係各署に連絡し、問題のムックは予定より2日遅れで発売できるように調整ができた。
そんなひと息つけそうな午後…遥香は外出。

俺はお茶の一杯でも飲もうかと給湯室に行くと、中に金澤がいた。
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