愛されオーラに包まれて
『あ、何飲むの?入れてあげようか?』

と、俺の返事を待つことなく"緑茶でしょ?"と、マグカップを奪われた。

『あ、聞いたよぉ。昨日大変だったんだって?』

俺のマグカップをマシンにセットして、ボタンを押しながら言う。
そう言えば、金澤は昨日休みでいなかったか。

『心配したよ。桐生くん、落ち込んでないかなって。でも、全く心配はないね』
「どうしてそう思うんだよ。確かに解決したところだけど」
『事故の処理が終わった終わらないは関係ないよ。昨日凄く怒られたって聞いたのに、桐生くんから今日になっていっぱい感じるよ』

金澤はニコニコしている。

「だから、何を感じるんだよ」
『愛されオーラ。ウフフ』

金澤は手で自分の口を押さえた。
俺から、そんな雰囲気を感じ取れると言うのか?

『愛されオーラを醸し出す男はね、抜群に仕事の能率が上がるよ。でもね…ひとつだけ欠点があるの』
「何だよ」
『女の子にモテちゃうのよ』

"はい"と、お茶の入った俺のマグカップを渡してきた金澤。

「はぁ?」

相変わらず金澤は不思議な切り口で話をする。
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