愛されオーラに包まれて
花村さんも何か私に声を掛けてくれていたけど、耳に入って来なかった。
デモ販は、少し売れ残ったけど、泰河からは"十分及第点"と褒めてもらえた。
でも、私の心は晴れなかった。
由依は、まだ私を恨んでいた。
あの時、なぜ私は由依に報告しなかったのだろう。
由依は大学へ行きたくても、すぐに独立しなければならない環境だった。
それは知っていたはずなのに、由依の心の本音を、私は理解していなかった。
そんなことを考えていたら、デモ販の翌々日行われた打ち上げでは、周りの人に"どうしたの?"と聞かれ、"何でもないです"と答えることの繰り返し。
誰とも話す気になれず、当然2次会に行く気も起きず、私は誰に声を掛けるわけでもなく帰ろうとした。
その時、私の腕を掴む手。
振り返らなくても分かる。
泰河の手。
外見は男なのに、手は指が長くてしなやか。
でも掴む力はとても強い。
「すみません。体調が良くないみたいで、今日はこれで帰ります」
すると、さらに腕を引かれ、耳元で、
『うちにいろ。先に寝てもいいけど、絶対に自分の家に帰るな』
ここ1ヶ月ほど、泰河の家には行っていなかったけど…
デモ販は、少し売れ残ったけど、泰河からは"十分及第点"と褒めてもらえた。
でも、私の心は晴れなかった。
由依は、まだ私を恨んでいた。
あの時、なぜ私は由依に報告しなかったのだろう。
由依は大学へ行きたくても、すぐに独立しなければならない環境だった。
それは知っていたはずなのに、由依の心の本音を、私は理解していなかった。
そんなことを考えていたら、デモ販の翌々日行われた打ち上げでは、周りの人に"どうしたの?"と聞かれ、"何でもないです"と答えることの繰り返し。
誰とも話す気になれず、当然2次会に行く気も起きず、私は誰に声を掛けるわけでもなく帰ろうとした。
その時、私の腕を掴む手。
振り返らなくても分かる。
泰河の手。
外見は男なのに、手は指が長くてしなやか。
でも掴む力はとても強い。
「すみません。体調が良くないみたいで、今日はこれで帰ります」
すると、さらに腕を引かれ、耳元で、
『うちにいろ。先に寝てもいいけど、絶対に自分の家に帰るな』
ここ1ヶ月ほど、泰河の家には行っていなかったけど…