愛されオーラに包まれて

『局長は、絶対落とせないよ。あの人は、誰にも靡かない』
「何で分かるんですか？」
『女性に対する態度がね、何かあまりにフラットと言うか、紳士的すぎる』
「そこがいいんじゃないですか」
『成瀬川家の御曹司だよ。そこらの女性を取って食うなんて有り得ないし、第一同じ局の人間なんて、ますますないよ』

"どうぞ"と、私の空いたグラスに白ワインを注いでくれた桐生さん。

「じゃぁ、どうしたらいいんですか！」

既に酔いが回り始めていた私は、桐生さんに八つ当たり状態。

「私のこの気持ちは、どこにぶつけたらいいんですか！」

さっき桐生さんに注いでもらった白ワインは、すぐに空となった。

『新たな恋でも、探したら？』

桐生さんのそんな声が聞こえたけど、そこからの私の記憶は曖昧だ。

「桐生さんには、私の気持ちは分からないと思います」

と、さらに白ワインを飲み続け…

完全に記憶が途切れた。