愛されオーラに包まれて
『神戸さん、局長に対して正直に話してもらえるのでしょうか?』

桐生は憂慮する。

『僕もはっきりまだ覚えてます。あの猜疑心の強さを感じる表情は、正直怖かったです』

花村は、"現場"に居合わせた唯一の社員。

『あれから、2度ほど神戸さんに会っているのですが、あちらはいつもと変わらないのに、僕が変に気を使ってしまって』

花村までそんな気を使う結果になってしまうとは。
何としてでも解決しないと。

高松の心の傷。
桐生の罪悪感。
花村の仕事相手に対する余計な気遣い。
そして、神戸さんの心の闇。

すべて払拭しなければ。

翌日の火曜日。

午後にわかば堂書店営業本部の応接室を予約してもらい、まずは営業本部長と会った。

そしてことの次第を全て話した。
でも話すだけでは、間違いなく神戸さんの社内での立場が悪くなる。

本部長には口外しないよう強くお願いして、神戸さんのことを俺に任せてもらう許諾を得た。
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