愛されオーラに包まれて
『由依、ありがとうございました。楽しかった』
『遥香、久しぶりだったの?』
『先週の土曜日に、桐生さんと1度だけ。でも、桐生さんは高校総体に出るレベルの人だから、もう勝負にならないの』

2人の会話が、自然になった。

『遥香』
『ん?』
『ごめんなさい』

ミニバンに乗ろうとした学校の駐車場で、神戸さんは頭を下げた。

『私も、進路変更を最初に言わなかったこと、ごめんなさい。で・・・』
『ん?』
『さっきの話だけど、由依のこと、自慢していい?』

神戸さんは微笑んだ。

『もちろん』
『やった!』

あともう少しだ。
神戸さんには頑張ってもらわないと。

夕方になる。
俺は予約をしておいた、ある小料理屋へ向かう。

予約は、貸切。
店自体も狭いし、それに今日は特別ゲストも来る。

店自体は街中。

車をパーキングに停めて、店に着いた。

神戸さんが驚く。

そりゃそうだろうな。
ここは、神戸さんのお母さんのお店だから。

『ここ、ですか?』
「そう。ここ。神戸さんのお母さんがおひとりでやられているお店なんだ」
『うっそ』

高松も会ったことがないという神戸さんのお母さん。
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