愛されオーラに包まれて
お店に入ると、カウンターのみの小さな店。

お母さんは着物を着て、俺達を待っていてくれていた。

『お母さん・・・』
『由依?』

予約の時、娘さんが来ることは伝えていなかった。

変に肩肘を張って欲しくなかったから。

驚くお母さん。
しかし接客は忘れていない。

『遠いところありがとうございます。狭いですけど、どうぞお座りください』

"何を飲まれますか?"と聞かれたので、俺以外の人間はビールを頼んだ。

俺は、ウーロン茶。

車を運転するから。

『局長、すみません』
「本当に心から詫びてるか?」

桐生にそう突っ込む俺。

『思ってますって』

慌てる桐生が、何か面白い。
いつもは、割と冷静だから。

ま、頭が休日モードなんだろうな。

料理は神戸さんのお母さんのお任せにした。
いわゆる"家庭料理"が沢山登場した。

全部が美味しかった。

さて、始めるか。
< 210 / 345 >

この作品をシェア

pagetop