愛されオーラに包まれて
『鍬形家に迷惑をかけないように、捨てられたと伝えておけば、父親に情が移ることはまずないと考えたのですが・・・それが結局、娘を苦しめる結果になってしまいました。由依が高校生になった頃には、些細な日常の出来事から私との関係も悪くなり、家庭内別居の状態でした』
お母さんはハンカチで涙を拭う。
『由依は、私からの小遣いも全て断わり、大学進学の資金も実は鍬形家から頂戴していて、由依にもその存在は教えたのですが"捨てられた父親からのお金はいらない"と、頑なに受け取りを拒否したのです』
『お母さん、私、知らなかった。私の名前の意味も、お父さんが鍬形家の人だということも、おじいちゃんが犯罪者だったということも』
"ブルブルブル"―
俺の携帯が鳴った。
最後の仕上げ。
スペシャルゲストだ。
「いいタイミングですよ。入ってください」
程なく、扉を開けて入ってきたのは・・・多分、顔を見て分かるのは、俺とお母さんだけ。
「お久しぶりです。舟さん」
『ありがとう、健吾くん』
俺は立ち上がった。
お母さんを見ると、驚いて目を丸くしている。
お母さんはハンカチで涙を拭う。
『由依は、私からの小遣いも全て断わり、大学進学の資金も実は鍬形家から頂戴していて、由依にもその存在は教えたのですが"捨てられた父親からのお金はいらない"と、頑なに受け取りを拒否したのです』
『お母さん、私、知らなかった。私の名前の意味も、お父さんが鍬形家の人だということも、おじいちゃんが犯罪者だったということも』
"ブルブルブル"―
俺の携帯が鳴った。
最後の仕上げ。
スペシャルゲストだ。
「いいタイミングですよ。入ってください」
程なく、扉を開けて入ってきたのは・・・多分、顔を見て分かるのは、俺とお母さんだけ。
「お久しぶりです。舟さん」
『ありがとう、健吾くん』
俺は立ち上がった。
お母さんを見ると、驚いて目を丸くしている。