愛されオーラに包まれて
「紹介するよ。鍬形コンツェルンの会長、鍬形舟(クワガタシュウ)さんだ」
『おじゃまします』

俺が元々端に座っていたが、さらに左隣の椅子が空いていたので俺はそこにずれて、由依さんの間に舟さんを座らせた。

舟さんは、旧財閥同士の繋がりで、よくパーティーで会う機会があったのが縁で、よく遊んでもらっていた。

アウトドア系の遊びを教えてもらったのは、全て舟さんだった。

舟さんの結婚式にも出席した・・・っていうのは、由依さんとのエピソードを聞いた後思い出してしまうのは、何とも複雑ではあるが。

俺も会うのは、13年ぶりくらいか。

『うわぁ、そっくり!』

そう叫んだのが高松。
他の人も頷く。

そうだ。
よく"本当にこの子の父親なのか?"なんていう疑いを持つことがあると言うけれど、舟さんと由依さんの場合その心配が全くない。

100人に聞けば、100人全員が"間違いなく親子"と答えるであろう。
そのくらいこの2人はそっくりだ。

お母さんは、驚いて固まっている。

『久しぶり、律子(リツコ)』
『は、はい・・・お久しぶりです。何か飲まれますか?』
『君は、何を飲んでる?』

由依さんに尋ねる舟さん。

『わ、私は、梅酒のロックですけど・・・』

恐る恐る、由依さんは答える。
< 214 / 345 >

この作品をシェア

pagetop