愛されオーラに包まれて
『あの』
『ん?』
『お願いが、2つあります』

由依さんが舟さんに言う。

『何でもするよ』

舟さんは目は真っ赤だけど、微笑んで由依を見た。

『ひとつは、また、東京で構わないので私と、時々一緒にお酒を飲みませんか?』
『喜んで。何杯でも付き合うよ』
『もう一つは・・・あなたのことを"お父さん"と呼んでもいいですか?』

舟さんはその言葉に目を閉じた。
そのことで、涙がさらに溢れだした。

『由依の自由にして、構わないよ』

"ありがとう"と言いながら、先程の写真を舟さんに返す由依さん。

『あ、もうひとつあった』
『何だい?』
『この写真、あまりにも赤ちゃんすぎます。携帯で今、私の写真を撮ってください』
『あ、それなら』

と、高松が舟さんから携帯を借りると、ツーショットの写メを撮り、待ち受けに設定した。

『これでいかがですか?』

俺も覗いてみた。
笑顔の、いい写メールだ。

『あの、梅酒、薄くなっちゃってますよ』

律子さんが入れた梅酒のロック。
氷が大分小さくなってしまっていた。

『いいよ、そのままで』
『私もグラスを合わせてもいいですか?』

律子さんも梅酒のロックが入ったグラスを持った。

『再会を祝して』

3人でグラスをぶつけて"乾杯"と言葉を発した。

そんな、再会を空の星が輝いて沢山祝してくれたようにも思えた、いい夜だった。
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