愛されオーラに包まれて
『あの、率直に伺いますぅ』
「何?」
『桐生さんは、彼女さんはいらっしゃるんですかぁ?』

何だ、そんな簡単な質問。

「いるよ」

即答だ。

『どんな方ですかぁ?』
「君に言うのがもったいないけど、とにかく可愛くて、何事にも一生懸命で、人のために泣くことのできる人」

本当はもっとあるけど、言うのが本当にもったいないから、やめた。

『そうですか・・・今の話をしている桐生さんは、いい表情をしていました。でも私も桐生さんにそう言われるようにがんばりますぅ!』

あぁ、こいつはかつて金澤が言っていた"バカな女"のひとりだ。

蒲田といい、清水といい、今年の新入社員はバカばっかりなのか?

「ま、勝手に頑張れば?俺は応援できないけどね」

冷たくそう言うと、俺は別のテーブルにいた竹内部長のところに行った。

『ねぇ、清水さん』

と、飯嶋さんが声を掛けていたみたいだけど、無視をした。
多分、遥香にも見られていただろうな、今のやりとり。
< 234 / 345 >

この作品をシェア

pagetop