愛されオーラに包まれて
信号が赤になる。
『ごめんな、高松』
桐生さんは私を見て、そう言った。
『全く、高松の言う通りだよ』
信号は青になり、車を発進させる。
『高松の貞操観念を無視した、俺の独りよがりだった。昨夜のことは忘れてくれ』
「忘れてくれって、会社ではどうしても会うことになりますよ」
『そうだよな…』
「でも…桐生さんが"ごめんな"って言ったの、2回目ですよね」
桐生さんの切ない顔が私にはいつもよりカッコよく見え、少し救いの手を出したくなった。
「実は覚えてます。…最中の"ごめんな、遥香"という声」
『そうか…』
それから、私のアパートの前に着くまで、桐生さんは一言も言葉を発することはなかった。
最後だけ。
『お疲れ様』
と声を掛けられ、
「ありがとうございました」
と返すだけの私。
でも、このままじゃ、月曜日から気まずくなる。
『なぁ』「あの」
重なる声。
『俺を、好きにならなくていいから、嫌いにはならないでくれ』
桐生さんは私の目を見てそう言い終えると、俯いた。
「なりませんよ、大丈夫です。また月曜日、元気に会いましょうよ。あ、それとまたみんなで飲みに行きましょ」
『その時は飲み過ぎないようにしないとな』
「…ですね。では、失礼します」
私は桐生さんにお辞儀をして、助手席を降りた。
『ごめんな、高松』
桐生さんは私を見て、そう言った。
『全く、高松の言う通りだよ』
信号は青になり、車を発進させる。
『高松の貞操観念を無視した、俺の独りよがりだった。昨夜のことは忘れてくれ』
「忘れてくれって、会社ではどうしても会うことになりますよ」
『そうだよな…』
「でも…桐生さんが"ごめんな"って言ったの、2回目ですよね」
桐生さんの切ない顔が私にはいつもよりカッコよく見え、少し救いの手を出したくなった。
「実は覚えてます。…最中の"ごめんな、遥香"という声」
『そうか…』
それから、私のアパートの前に着くまで、桐生さんは一言も言葉を発することはなかった。
最後だけ。
『お疲れ様』
と声を掛けられ、
「ありがとうございました」
と返すだけの私。
でも、このままじゃ、月曜日から気まずくなる。
『なぁ』「あの」
重なる声。
『俺を、好きにならなくていいから、嫌いにはならないでくれ』
桐生さんは私の目を見てそう言い終えると、俯いた。
「なりませんよ、大丈夫です。また月曜日、元気に会いましょうよ。あ、それとまたみんなで飲みに行きましょ」
『その時は飲み過ぎないようにしないとな』
「…ですね。では、失礼します」
私は桐生さんにお辞儀をして、助手席を降りた。