愛されオーラに包まれて
『白石うららは【Girl's Leaf】の専属モデルだからだ。部長は承諾している』
『じゃぁ、今回もそうしてくださいよぉ』
『スタッフはボランティアではない。れっきとした仕事なんだ。土曜日の手配は休日出勤扱いか平日の代休を伴う。だから自分の好き嫌いで声を掛けるスタッフを決めるべきではないことくらい、理解しろ』

泰河はそう言い切ると、急ぎ足で外出して行った。

泰河の背中を見送ると、清水さんがこちらに来た。

『遥香さぁん、桐生さんって、私に冷たくないですかぁ?』

それを私に愚痴ること自体、人選が間違っているよ、清水さん。
しかも結構前から私のこと"遥香さん"と勝手に呼ぶし。

同じことを思ったのか、玲奈さんは笑いを堪えきれていない。

「今の話、聞こえていたけど、桐生さんは何ひとつ間違えたことは言っていないように思うけど」
『なら、白石うららの写真集のサイン会の手配、桐生さんを外してもらえませんかぁ?』

玲奈さんは本格的に笑い出した。

『桐生くんの言っていることが全く清水さんには伝わってないみたいね、アハハハ。こりゃ、たいへーん』

玲奈さん、ケンカ売ってないですか?

すると、派遣社員の席から声がした。

"すみません、2番でどなたか英語の電話を受けていただけませんか?"

『はぁい。私出ますよぉ』

玲奈さん、英語話せるの?

『Hello,This is Kanazawa from Ryuseisya.May I help you?』

玲奈さん、カッコ良すぎます・・・。
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