愛されオーラに包まれて
『でもさ、新入社員でしょ?突き放すのは簡単だけど、さて、突き放して、遥香で言う金澤さんのような相談できそうな人って、その新人ちゃんにはいるのかしら』

清水さんのいる販売五部。

羽賀部長、定年間近の松田さん、営業局歴25年の佐藤さん、あとはワンマンプレーで名高い入社8年目の林さん。

全員、男性。
新入社員にはハードルが高いかな。

「うーん、いないかも」

すると、由依は真っ直ぐ私を見た。

『まぁ、営業局のパワーバランスは私には分からないけど、周りに相談出来なきゃ、孤独だよね。突き放すイコール潰れていくだけ』
「部長に相談したがらないんだよね、その子」
『相談できる環境を作れていない周りも悪いけどね。その子もちょっと強引なところがありそうだけどさ。桐生さんのことを狙っているんだ』

イベントの手配に関係ない泰河を入れようとするところも、狙っていると思って間違いない。

泰河もそう言ってるし。

「でも、今日の泰河の態度はさすがに冷たかったかな」
『それは間違いなく、遥香のためでしょ。新人ちゃんよりも、遥香が傷つかないようにするためだよ』

泰河の私に対する優しさなんだ。

『…って私がそんなこと言える立場じゃないけどさ』
「そんなことないよ。ありがとう」
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