愛されオーラに包まれて
一途な恋。
同情ではなく、愛情。

聞いていて、由依のことが本当に好きなんだなって感じた。

『それにしても何で由依"ちゃん"なんですか?』

泰河が聞く。

『僕の変なこだわりって言うか…本当に好きになった人のことを、呼び捨てで呼べないんです。どうでもいい女性は呼び捨てなのに、由依ちゃんにはどうしても呼び方を変えられなくて…』
『私は"ちゃん"はいらないって言っているんだけどね』
『そんなもんなのかなぁ』

泰河は上に目線を置いて考えているみたいだった。

『あの、うちの兄って、龍成社で頑張っていますか?』

剛さんが尋ねる。

「頑張っているも何も、私達には頼りになりすぎる上司ですよ」
『言葉の使い方は、剛さんより悪いかな』

剛さんは食べていたお通しの器を置いて、私達を交互に見た。

『兄は、ああ見えて凄く苦労した人間ですから、ある意味"育ちの良さ"のようなものは感じないかも知れないですね』

"うーん"と泰河は考えた。

私も剛さんの言う"兄は苦労していた"と言う言葉に違和感を感じた。

なぜなら…
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