愛されオーラに包まれて
「それにしては、お兄さんからは"愛されオーラ"をひしひしと感じますよ」
『愛されオーラ?』

剛さんは首をかしげた。

『私は、あるいは俺は、凄く愛されていまーす、っていうオーラ。つまりは局長…お兄さんで言えば、"俺は彼女にメチャクチャ愛されてるから、他の女性には興味ありません。だから近寄るなよ"みたいな雰囲気を醸し出してるんです。男の俺でも分かります』

「それで、苦労しているだなんて、想像できない…けど、それなりの経験はされているのかな、と言う気がします」
『兄のことをそんな風に言ってもらえて、凄く嬉しいです』

と、局長には全く似ていない顔で微笑んだ剛さん。

「局長には、話したの?ふたりのこと」

私は由依に聞いたつもりだったけど、剛さんが答えてくれた。

『あの、それなんですが・・・実は、僕達、既に入籍をしておりまして、付き合っている、っていうよりかは、夫婦なんです。ですから、兄には話しているどころか・・・そういうことなんです』

え?そうだったの?

「え、それっていつ?」

私は驚いて、言うべきセリフの前に失礼にも聞いてしまった。
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