愛されオーラに包まれて
『7月23日に』
「どうして言ってくれないのよぉ」
『だから、その時は入籍だけだし、10月にパーティーやる予定でいたから日程決まったら遥香たちを招待しようと思ったの。で、今日は剛さんも来られたことだし、今からその話をしようと思ったの。なかなか気軽に言えない環境もあってさ、ごめんね、遥香』

由依は神妙な顔つきで私にお詫びしたので、私は何も言えなかった。

『局長も水くさいなぁ。俺たちに話してくれても良かったのに』
『まぁ、それは色々事情があって…成瀬川家は、複雑だから』

まぁ、私達庶民には所詮分からない世界。
でも言うことは言わなきゃね。

「結果的に遅くなっちゃったけど、おめでとうございます」
『おめでとうございます』

ふたりで言葉を掛けた。

「お父さんとは会っているの?」
『お父さんって、私の?』

鍬形コンツェルンの会長である由依の実父。

そして離れていた娘が、成瀬川家の三男と付き合うっていう、マンガみたいな展開。

『うん。会ったりするけど、忙しい人だから、主にメールをするの。お父さんはね、小さい頃から剛さんを知っていたから、かなり驚いたみたいだけど、剛さんなら大丈夫って言ってくれた』
『僕も驚きました。由依ちゃんが舟さんの娘さんだったなんて』
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