愛されオーラに包まれて
『えー、そういうものですか?』
「しかも、ここに書いてあるじゃねーかよ。立花亜里沙がキャラクターを務めている入浴剤メーカーが広告に名乗りを上げているって」
『広告を入れて書籍扱いって、ダメですかね』
「そんなもの、業界のルールだから、無理」

どうして蒲田は書籍にこだわるんだ?

「お前さ、書籍に何でこだわるの?」
『・・・』

俺はまさかと思ったけど、

「高松か」

蒲田は黙って俯いた。
そこまでして遥香に取り入りたいか。

「仕事に私情を持ち込むんじゃねーよ」

気持ちはわからなくはないけど、今回は少し強引過ぎる。

『そ、そうですよね…ありがとうございました』

蒲田は力なく自分のデスクに帰って行った。

夕方、今日も何時に終わるか分からない業務量。

これから残った仕事をこなすのに、リフレッシュしようと給湯室へ行ってお茶を汲みに行った。

そこには、先約がいた。
しかも二人。

入口で話していたので、狭い給湯室には入れないから出直そうかと思ったら、話声が聞こえてきた。
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