愛されオーラに包まれて
間違いには気付いた。
でも心を手に入れたら、俺はどうしたらいいんだ?

高松の心を手に入れた訳でもないのに、その先のことを考えてしまった。

高松の心には、俺ではなくて、局長がいる。

局長は、やめておけ。
俺は高松に告げる。

心を俺に向かせるために…でも、俺って高松が好きになれる要素はあるのだろうか。

入社2年目のまだ駆け出しのこの俺。

高松に振り向いてもらえるよう、自分を磨こうと思ったのに…

昨日の歓迎会は、酔った高松を一次会で強引に引き上げさせた。
このままだと、間違いなく局の誰かに食われる。

だから俺は"明日朝が早いから"と最もらしい言い訳を言って、一緒に高松と帰ることにしたんだ。

幹事だったけど、もう一人の幹事である販売一部の3年目の先輩に任せた。

タクシーに乗せ、高松の家を聞き出そうにも、泥酔状態で寝てしまっている。

仕方なく、俺のマンションへ連れ帰ったんだ。

タクシーを降りて、マンションのエントランスの段差さえもおぼつかない足取りの高松を背負ってエレベーターに乗り、鍵を開けて家に入る。

軽いなぁ、コイツ。

ちゃんと食べてるのかよ。
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