愛されオーラに包まれて
イルミネーションは青と白の光が入り乱れとても美しく、テレビでも取り上げられていたこともあって、賑やかだった。

人混みで、落ち着いて見るどころか、歩くのも大変。

泰河の手をギュっと握って、絶対離れないように通り過ぎるのがやっとだった。

『なぁ遥香』
「ん?」
『誕生日プレゼント、遥香が欲しいから、遥香を心置きなく独り占めできるところに行ってもいいか?』

泰河は、私を車に乗せると、すぐに車を発進させた。
着いたのは、ゴールドヘブンリーホテル。

しかも予約を入れていた模様。
泰河が私の手を引いて連れてきたのは、エグゼクティブ。

あの時と全く同じ部屋。

『ほら、どんなイルミネーションよりも綺麗だろ?ここ』

外の夜景を高いところから見下ろすことができる。

あの時と変わらない、眠らない東京の綺麗な夜景。

2人で窓の外を見る。

『覚えているか?この部屋』
「当たり前でしょ。ここで泰河と私は・・・お互いの気持ちを吐きだしたんだから」
『あの時は、この部屋になったのは偶然だけど、今回はきちんと同じ部屋番号を指定して予約したんだ。今日は、そんな思い出の部屋に、どうしても泊まりたかった』

そう言うと泰河は、窓の淵に座った。
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