愛されオーラに包まれて
『その後、大学に入ってからも、俺の女性への興味はその程度。初恋の彼女以外は何も感じることもなく、来るもの拒まず、去るもの追わずの付き合い方だった。だから龍成社に入って彼女が途切れても、それほど寂しさはなかった。なぜなら俺は、恋をしていなかったから、女性に依存をしていなかったから』

泰河は私に向かって微笑んだ。

『1年目の終わりの頃に、お前と出会っただろ?前にここでは最初の3日間は後輩だと思っていたようなニュアンスで話したけど、実は最初から、遥香は俺にとっては"女性"だった。つまりは一目惚れ。蒲田のことが言えないんだよ、俺』

ため息をつく泰河。

『最初お前は局長が好きだって言ってただろ?だから俺、少し諦めていたんだ。だけど、心が手に入らないなら、体から繋がって、どこかで心も繋がらないかと思って、俺の家でお前を抱いた。その後だって、心が繋がるために、体を繋げていることに変わりはない』

私も、泰河と同じ気持ち。
体を繋げると、心が満たされるから。

『遥香が俺の気持ちに応えてくれたことは、俺は泣くほど嬉しかった。あの時本当にこの部屋で泣きそうだったんだ。俺はどうしようもなく、遥香に恋をしていたから。でも、人間、欲しいものが手に入ったら、欲が出てくる』
「うん」
『俺、この先も遥香と一緒にいたいから、その証が欲しい』
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