愛されオーラに包まれて
「泣き止まなきゃダメだよ。目が腫れちゃう」
『いいよ』
「不細工になる!」

私は顔を膨れっ面にすると、泰河はそんな私に微笑んだ。

『誰に不細工と思われたいんだ?遥香は俺だけを見ていればいい。俺もお前しか見てないんだから。俺のために泣くのなら、たくさん泣いて』

私の両方の頬を自分の両手で包んだ泰河。

『よそ見するな。これからも俺だけを見ろ。俺の惚れ惚れする姿も、みっともない姿も、全部妻となる遥香のものだ』

泰河は私の額に自分のを当てた。

顔が近くなって分かったけど、泰河も、泣きそうな目の赤さ。

「私だって、泰河のものだもん。女の子にモテて、私よりも可愛い子が現れたって、私が忘れさせるんだから」
『望むところだ』

泰河は、軽く私にキスをすると、

『あ、そうだ』
「何?」
『さっき外したチェーン、もう一度着けなきゃ』

泰河はテーブルにあったそれを手に持つ。

「私が着けてあげる」

12センチくらい違う泰河との身長差。
首の後ろに手を回し、着け直す。
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