愛されオーラに包まれて
ソファーに下ろした時に、目が覚めたようだ。

『うんっ…』

目を薄めに開けて、こちらを見る。
でも、その目は虚ろ。

「そのままそこで寝るか?」

と、俺は気を使って言ったつもりだ。

ところが高松は俺の心を弄ぶかのように言ったんだ。

『嫌だ、一緒に寝る!』

と。

言ったそばから着ていたジャケット、スカート、ストッキングを脱ぎ、さらに"暑い"と言って、インナーも脱ぎ捨てた。

これは作り話じゃない。本当にあったこと。

目撃者がいないのが悲しいくらいだ。

そのままだと風邪を引くと思ったので、高松をベッドに寝かして、自分はソファーで寝ようといつもの寝る格好に着替えたら、アイツがベッドから起き上がって俺の腕を引っ張ったんだ。

バランスを崩してベッドに倒れる俺。

すると"寒い"と言って俺に引っ付いてきた高松。

ここで理性が働くほど、俺は紳士じゃない。

好きだと自覚している女が下着姿で俺に引っ付いてきたんだぞ。

"釣った魚に餌はやらない"

ではなく、

"釣られに来た魚を簡単に釣り上げ、そのまま喰う釣り人"

だから餌をやるなんて関係ない。
だって、食べちゃうんだから。
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