愛されオーラに包まれて
『コイツ、今夜から彼氏と旅行だって』

天馬さんがみなみちゃんをあごで指しながら言う。

「へぇ、どこ行くの?」
『ハワイ。まぁ、4人で行くから、グループ旅行のようなものだけだし、テンちゃんにとっては珍しくも何ともないところでしょ?』
「でも、いいなぁ」
『お前だって俺とグアムに行ったりしただろうが』

と、泰河に言われ、寒い今の季節に暖かい常夏の海を思い浮かべていたら、

『そうだ、兄貴さぁ』

泰河はお兄さんの天馬さんに話しかける。

『あの部屋、片付けてくれないかな。じゃなかったら、新居を別に探したいんだけど』

天馬さんは姪の果林ちゃんを膝に抱いてあやしながら、

『片付けるよ。半分は処分して、半分はここに持ってくる』

泰河が住んでいる家は、実はワンルームではなく、1LDK。

今、ベッドを置いている空間は本当は書斎スペース。

玄関脇に実はベッドルームとなるべき部屋があるのだけれど、天馬さんの荷物でいっぱいで、"開かずの間"と化していたのだ。

『え、うち?』

明らかに不快な顔をする泰河のお母さん。
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