愛されオーラに包まれて
『大丈夫?』

遥香はしゃがんでその子を立ち上がらせた。

「パパやママは?」

俺もしゃがんでその子に聞く。
が、その子が答える前に、

『すいませーん』

遠くから声がした。
見ると、髪はサラサラとサイドに流した黒髪に黒ブチの眼鏡。

いつも見ている姿とは明らかに違うが、俺には分かった。

「きょ、局長?」
『え?局長?何やっているんですか?こんなところで。局長の休日姿、初めて見ました』

局長は、バツの悪そうな顔。

『参ったなぁ』

と頭を掻く。

『パパぁ、おなかすいた』
『「パパぁ?」』
『マリ、まずはお姉ちゃんに謝りなさい。お姉ちゃん、マリがぶつかったから、痛いんだよ』
『ごめんなさい・・・』

マリちゃんは黙って頭を下げた。

『大丈夫だよ、マリちゃん』

と、遥香はマリちゃんの頭に手を乗せた。けど・・・

どう考えたって、マリちゃんのパパは、局長だよ、ね?

『一緒にこの店入るか?』

と、目の前のスイーツ専門店のイートインに入った。

4人用のテーブルの奥に局長とマリちゃん。

手前に俺と遥香。
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