愛されオーラに包まれて
『そこにいた、アルトサックスを吹くある女の子に、俺は一目惚れをした。たまたま楽器にぶつけて怪我をしたその子の手当てをしている時に、名前を自分から名乗ってくれて』

みんなはその子とどうなったのか、次の副社長の言葉を待つ。

『でも、札幌で教師やっている俺が、高校1年生の女の子に何ができる?そう思った時、夢がどうでもよくなってしまうくらいますますその子が欲しいと思ってしまい、2年の限定が短いと最初感じていたのが、すごく長く感じられて・・・現金なもんだよな。恋は俺の夢の考え方まで変えてしまった』

そう言って副社長は鼻で笑った。

『2年が経って、本来は龍成社で働く予定だったんだけど、ナルガクの教師に欠員が出ていて、1年だけ社会科の教師をやってもらえないかと頼まれて、引き受けた。産休の教師がいたために、教科だけではなく、3年生の担任もやることになったんだ』

高校の担任の先生?
それってすごいよね。

卒業生送り出しちゃうってことだよね。

『事前に持つことになった生徒の名簿を見た時、愕然としたよ。なぜなら、一目惚れした女の子の名前がそこにあったから』
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