愛されオーラに包まれて
副社長はひと息ついた。

『俺としては、東京に戻って、その子の彼氏として立候補しようと思っていたのに、その子の担任となってしまってはそうはいかない。でも俺が思ったことを"絵に描いた餅"にはしたくないと考えた俺は、結局彼女に告白したんだ。しかも始業式からたった3日で』

たった3日?
教師としては、完全に失格だよね。それだけ、魅力的な女の子だったのかな。

『3日しか持たなかったのは、とにかく彼女はモテたんだ。男子生徒に告白されているシーンに3日で2回遭遇した。このままではその男子生徒の1人に靡いてしまうのではないかと焦った結果だ』

"副社長も余裕のない恋をしていたんですね"

そう茶々を入れたのは、一部の飯嶋さん。

『そうだな。だから、俺の告白に彼女が答えてくれたのが嬉しくて、何とか卒業まで秘密にしながらこぎつけた。卒業してから、俺は龍成社、彼女は大学生。担任をやっていた時のように毎日会えなくなってしまったことが、とても苦しくて。仕事で忘れられるかと思ったけど、彼女が勉強に夢中になり過ぎて、海外の大学に留学したいと言ってきた時、俺の中で彼女との将来へ向けた気持ちが固まった』
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