愛されオーラに包まれて
披露宴は三方がガラス張りになっており、海の見渡せる明るい会場。

総勢70人の列席者。

私はオフショルダーのウェディングドレスに身を包み、髪飾りは式の時のショートベールからピンクと青の花を使った花輪を頭に飾ったスタイルに変わった。

ブーケを花輪と同じように作ってもらい、泰河のブートニアも合わせた。

これで、お色直しはなし。

限りある時間で、席を外したくなかったから。

皆さんに、たくさん感謝したかったから。

主賓である副社長の挨拶と日下部長が乾杯の音頭を取り、司会者による私達の紹介、ケーキカットなどひととおりのことを終え、宴は歓談の時。

玲奈さんが副社長の腕を引っ張ってまず私達の前に来た。

『この度は、おめでとうございます。それと、ありがとうね、席次表』

席次表は、玲奈さんの送別会が終わってすぐに、既に"校了"していた席次表を泰河が式場側に頼んで修正させて、今朝届いた出来立てのもの。

玲奈さんは最初、同期たちのテーブルの中に席を設けていた。

しかし、玲奈さんが副社長の奥様である以上、基本的には副社長"令夫人"としての列席になるのが自然だからと、席の場所と名前を変えさせたのだ。

「いえ、間に合って良かったです」

すると、玲奈さんの背後から"すみません、皆さんで、写真お撮りしますよ"と、会場を回る専属カメラマンから声をかけられた。
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