愛されオーラに包まれて
真子さんが剛さんの方を見て呟いた。

『全く、どんなセレブの結婚式なんだか』

広告局の谷重さんがそう言うけど、私だって同じ感想だよ。

『そうだな。俺たちは床屋の息子と高校教師の娘だし』
「そうです。庶民庶民」
『私だって、庶民だよ。ただのサラリーマンの娘』

玲奈さんはそう言うけど、

『お前は庶民から卒業しているので、この会話には入れませーん』
『あ、ひどーい』

と、玲奈さんが剥れた。

そんな顔の玲奈さんも、まぁ、ウサギみたいで可愛いんだよなぁ。
これでは、副社長の監視が厳しくなるのは当然だよね。

席に戻って行く玲奈さんを目で追ったけど、とてもマリちゃんのママには見えないもん。

『こんにちは』

次に来たのは、私の同期たち。

『よく間に合ったね、席次表。金澤さんがうまいこと"成瀬川"になってるのは、仕事が早いね』

そう言って感心したのが朱里。

『それは、校了していた席次表の原稿を、無理矢理手直しさせたからね』

泰河がそれに答える。
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