愛されオーラに包まれて
引き込まれるんだよなぁ、桐生さんの顔。

切れ長の二重に、高めの鼻筋。

薄い唇に、小さい顔。
でも何と言っても特徴は、左目の下にあるホクロ。

あの時だって、最初に桐生さんだと判断できたのは、このホクロだった。

今日のランチ。

朱里と外の洋食屋に入った。

『遥香、明日の夜って空いてる?』
「明日?」

今朝、桐生さんに予定を埋められた。

「先約があるよ」
『そうか。せっかく桐生さんと花村さんも誘って飲みたいと思ったんだけどなぁ。私達が配属されてから一度もないじゃん』

「ごめん…」
『でも、遥香が金曜日に予定が埋まるって珍しいね。先週の歓迎会はともかく』

正直に答えたら、まずいよね。

「久々に高校の同級生と会うんだよね」

と、ありきたりなことを言って嘘をついた。

これが、同期の絆を守るため。

私はそう思った。
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