愛されオーラに包まれて
桐生さんは言葉を発することなく、私の話を聞く態勢。

「桐生さんが私に何をしようとも、私が文句を言う資格はないんです。だから先週の非礼は謝ります。だから…」

ここで言葉が詰まった。

『だから？』

桐生さんも私の次の言葉を待っている。

「私のこと、嫌いにならないでください！」

私は、桐生さんに本音を吐露する。

「これまでのように、私を気軽に誘って飲みに行ける後輩として扱ってください！私は、妹みたいな存在かも知れませんし、子供みたいな性格で頼りないかも知れませんが、桐生さんの仕事の愚痴とか、沢山聞きます！だから…」
『おい、ちょっと待て』

桐生さんは体を正面に向けたまま私の言葉を遮った。でも、まだ私の言いたいことは終わってない。

「いえ、もう１つあるんです！」
『ごめん、邪魔したな。話せよ』

桐生さんは私の方に体を向けた。

この人は、人の心を読むのが上手いんだ。

今から言う私の言葉がそれまでより大事なものであることを先に理解していると、私は思った。
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