愛されオーラに包まれて
『あんな誰でも来そうな場所で堂々と手を繋いで歩いちゃってさ。私の気持ちを知っていながら、何?当て付け?いつから付き合ってるのよ』

「まだ、最近だよ…」

私は"先週の金曜日から"とか言うとあまりにリアルなことになりそうだったから、あえて濁した。

『私、ひどく傷ついたなぁ。アンタとは2月からの付き合いだからまだ浅いけど、浅いままで良かった。なぜなら、このままアンタと親友なんかになったら、私に全くメリットないから』
「そんな…じゃぁ、桐生さんにぶつかってみればいいじゃない」

社食はいろんな会話が飛び交っているので私達の声を聞いている人はいない。

『いいの?そんなことして。桐生さん、寝取ってもいいの?結構遊んでそうだから、ちょっと色気出せば簡単に誘惑に負けそう』
「桐生さんはそんな人じゃないよ」

私は苛つく朱里に必死だ。

『それとも、私が桐生さんに片思いしているのをふたりで嘲笑ってたのかしら?』
「そんなつもりはないって」
『じゃぁ、成瀬川局長はどうなったの?あれだけ好き好き言ってたじゃない』

朱里の言葉には、刺がある。

「それは、いろいろ流れや訳があって…」
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