愛されオーラに包まれて
局長って、東都大だったの？
成瀬川家の御曹司なら、当然成瀬川学院大、通称ナルガクだと思ったのに。

でも、この会社って、成瀬川グループの中核企業の割には、ナルガクのOBがなぜかいない。

会社の方針らしいけど、噂では、同じ学校出身者が偏ると、出版社として発想能力が乏しくなり、物事を考える視野も狭くなることを歴代社長が恐れているからとか何とか・・・

『あ、高松、越後から聞いたぞ。局長、狙っているらしいじゃないか』

磯部くん、いらない情報まてキャッチしないで欲しい。

『そもそも局長って、独身なの？』
「え、独身なんじゃないの？」
『年齢だけなら、結婚していてもおかしくないよね』
「年は、いくつなの？」
『確か…今年31歳かな』

31歳かぁ。結婚していてもおかしくないよね。
でも、独身でもおかしくない。
私は、アタックするチャンスを伺うんだから。

午後になって、局長が戻ってきた。
そのチャンスをどうやら部長が狙っていたらしく

『金澤さん』

と、玲奈さんを呼んで、一緒に局長を囲んだ。

ふたりに向かって話をする局長って、カッコいいわぁ。

すると

『見とれてる』

背後から書類で頭をはたかれた。
< 9 / 345 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop