*あかずきんちゃん*
♪♪泣き虫オオカミくん。
「うわ~ん、やめてよ。いたいよっ!!」
ぼく、オオカミの狼(ろう)っていいます。
15歳。
茶色い天然パーマの頭にはふたつの耳があって、しっぽもちゃんとオオカミなのに、でもぼくは今、ウサギの兎(と)くんとキツネの狐(こ)くんに叩かれたり蹴られたりしてます。
「なんだよ、オオカミ族の長の息子のクセに弱ええなぁ!!」
「罠にもかかるしとろくせぇし、そんなんで村が守れるわけないだろ?」
ひ~ん、痛いよっ。
ポカポカとぼくの頭を叩いたり、お尻を蹴ったりされて、ぼくはとうとう泣きべそをかいてしまう。
「うええええんっ!」
でも、どんな時でも救世主はやって来る。
ぼくの場合、その救世主っていうのは……。
「ごるああああああっ!! あんたら、ナニしてんのよ!!」
「げぇっ!! 赤ずきんだ!! 逃げろっ!!」
赤いずきんを被った、ぼくより少し背が低い、ぼくと同じ年齢の、肩まである黒髪の女の子。
ちょっぴり……ううん、かなり口は悪いけど……。
それでも赤ずきんちゃんは優しい。
「大丈夫か?」
去っていった兎くんと狐くんたち。
入れ違いで赤ずきんちゃんがぼくの前にやって来た。