*あかずきんちゃん*
赤ずきんちゃんは、地べたで丸まっているぼくを覗き込み、傷の様子を見ているんだと思う。
だけど、ぼくはそれどころじゃなくって……。
ドッキン!!
黒くて大きな吸い込まれそうな綺麗な目がぼくを映すと、胸がドキドキする。
それは、実はぼく。
赤ずきんちゃんが好き。
強くて優しくって、ちょっぴり口が悪い赤ずきんちゃんが……。
「ああ、やっぱタンコブできてるっ!!」
ふわっ。
ぼくの髪をかきあげて、やわらかくて小さな手が叩かれたおでこに触る。
タンコブがある部分に触られてズキってするけど、胸がドキっともする。
だって、目の前に赤ずきんちゃんの顔が!!
顔が近いよっ!!
「うわっ、どうしたの? 顔真っ赤だよ!!
もしかして顔も殴られたっ!?」
ぼくはフルフルと首を振って、赤ずきんちゃんに何でもないと伝える。
だけど、心臓がバクバクうるさくって口は金魚さんみたいにパクパク開いたり閉じたりを繰り返すだけで、言葉が出せない。
「ここじゃ手当てもできないな、よし。家に来なさい」
赤ずきんちゃんはそう言って、ぼくの手を掴んで家に連れて行ってくれる。
……のは嬉しいんだよ?
でもね、赤ずきんちゃんは一人暮らし。