*あかずきんちゃん*
ぼく、大好きな赤ずきんちゃんとふたりっきりなんてそんなの恥ずかしすぎるよぅっ!!
と言っても、いつもこんな調子でみんなにいじめられたり罠にかかったりしてぼくが傷をつくるたび、家に入れてくれて手当てをしてくれるんだけどね。
「ね、いい?」
赤ずきんちゃんの部屋で、ぼくの傷の手当てが終わったら、赤ずきんちゃんは必ずそう言う。
「うん、いつものアレだよね?」
本当はすごくドキドキするんだけど、でも赤ずきんちゃんが喜んでくれるなら、ぼくも嬉しい。
だからぼくは、コクンとうなずいて、赤ずきんちゃんに身をゆだねる。
「はぁ~、やっぱいいな~、狼は……」
スリスリ、スリスリ。
ぼくの体を抱きしめて、顔を頭にくっつけてスリスリされる。
……とても気持ちいい。
赤ずきんちゃんからシャボン玉の匂いがする……。
ぼくはうっとりと目をつむって、赤ずきんちゃんの気がすむまで、こうやってスリスリされるんだ。
本当はね、ぼく。
知ってる。
赤ずきんちゃんが、ぼくの、この『ふわもこ』な耳の毛が好きなこと。
だから赤ずきんちゃんは傷ついているぼくを助けてくれるんだってこと……。