*あかずきんちゃん*
♪オオカミくんのホンキ。
お日様が空高く昇る昼。
村に住む大人たちがみんな森の集会で村を留守にしていた時。
「泣き虫狼!」
「うわ~ん、やめてよっ、いたいよっ!!」
ぼくはいつものようにみんなにいじめられていた。
そしたら突然、赤ずきんちゃんの家から、彼女の悲鳴が聞こえたんだ。
大好きな子が危険な目にあってるかもしれない!!
ぼくは無我夢中で周りを囲んでいる狐くんたちを押しのけ、立ち上がる。
頭にはやっぱりタンコブとかあったけど、痛いのも忘れて、赤ずきんちゃんの家目指して走った。
そしたら……。
「離せよっ!! このっ!!」
クマさんみたいな大きい体をした知らない人間に、赤ずきんちゃんが、かつがれて出ていく姿が見えた。
大変だ!! 人さらいだ!!
人間の手には猟師が持つ長い銃がある。
……正直ものすごく怖い。
突然走り出したぼくの後を追いかけてきた兎くんと狐くんは、ぼくの隣で腰を抜かしている。
怖い。
このまま何も見なかったことにしたい。
でも、そうしたら、赤ずきんちゃんはどうなっちゃうんだろう。