その背中と

屋上の扉の前に立つ。

もうどうしょうもないくらい、緊張していて、倒れてしまいそう。

ゆっくりとドアノブに手をかけ、扉を開く。


ーーーーいた。


彼がこちらをゆっくりとみる。

「はじめまして。」

少しぎこちなく、それでも満面の笑みで彼は言う。

「あっ、えっと…は、じめまして。」

緊張でまともに声がでない私に彼は優しく微笑み近づいてきた。

「緊張してる?笑」

そして、そっと頭に手をおいて、ポンポンっとされる。

それにさえ、私はビクビクと震えてしまい…

怖い

怖くて震えが止まらない

「怖い?…大丈夫。」

そっと抱きしめられる。

頭をよしよしと撫でられながら。

最初は震えていたもののすぐに収まった。

どのくらい抱きしめられてたのだろう。

落ち着いた頃に彼はそっと離れた。

あ、やだ…離れたくない。

すると、そっと顔が近づいてくる。

あぁ、これはキスかな。

え、キス???え!!!?!??!!?

ドンッッッーーーー

気づけば彼を突き飛ばしていた。

「やだ?」

「や、やじゃないけど…その…は、恥ずかしじゃん???」

「…大丈夫だよ。」

そう言って腕を引かれ少し強引に抱きしめられる。

爽也くん…

そして再び近づいてくる唇。

思わず顔をそらしてしまう。

すると頭上からは、クスクスと笑う声が聞こえた。

唇に這う指。

そして次第に口の中に入ってきて、口の中を犯していく。

「んふぁ…んっ…」

吐息が漏れる。

目には涙がうかぶ。

ぼやけて見えた視界の先には、彼が満足気に微笑んでいた。
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