その背中と

「ゴホゴホッ」

咳き込む私を彼はまたそっと抱きしめる。

「ごめんね…少しいじめちゃった。こころちゃんが可愛いから。」

そんな言葉にゾクゾクした自分は本当に心底ドMだと思った。

「キスしていい?」

こくんと頷いた。

それと同時に彼の唇が重なる。

ああ、キスなんてどのくらいぶりだろ。

ついばむように、優しいキス。

そしてどんどん深くなって私の口内を彼色に染めていく。

「ん…ふぅ…」

潤んだ瞳を開くと、目をつぶる彼が見えた。

それはすごく綺麗で、私の中の何かを動かした。

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