すきなひと。
あれから、しばらく顔は赤いまんまで、しょうがなく下を向いて帰った。
汰希は心配してたのか知らないけど、駅まで送ってくれて。
別れるとき何か言われた気がしたけど、気のせいということにした。
何とか家に着き、着いたとたんあたしは部屋に入りベッドにダイブして枕に顔を埋める。
そして、今日あったことを思い出す。
まさか、始業式のとき見てた人が先生だとは本当に思ってなかった。
「あ。よく考えてみたら、担任に手をあげてたやん…そこで気付こうよ…あたし」
はぁ…と、ため息を溢し寝転がって。
枕元にあったコンポのリモコンを手にして、電源を入れて再生する。
コンポからは軽快な音楽が流れ出した。
天井をぼーっと見つめてるとドアをノックする音とカシカシと引っ掻く音が聞こえた。
あたしはベッドに腰かける体勢に戻し、返事をするとドアが開き、勢いよく犬のチェルシーが胸に飛び込んできた。
「わっ?!ビックリしたー」
「こらっ!!チェル!あかんやろ?!ビックリしてるやんっ」
そう言いながら、妹の春花が部屋に入ってくる。
春花は2歳年下の中学3年生。
「おかえり、ねぇちゃん」
「ただいま。春花」
「今日は何かあった?」
そう、楽しそうな顔をして質問した。
あたしと春花は、毎日 学校であったことを話したりしている。
恋話から愚痴まで。
ある意味のストレス発散法になってる。
「ちょ、春花聞いて!今日ね……」
春花に今日あったことを全部話した。
話を聞き終えて、興奮したように春花が言う。
「何でねぇちゃんのこと知ってんの?!」
「・・・何でやろ?関わりあったっけ??」
「え?始めて会ったん?」
「・・・たぶん」
「あ、もしかして先生らに目つけられとるとか?!」
「うわ〜リアルー。それやったらイヤやなぁ」
そんなことを言ったら、春花は不憫そうな顔をした。